*ゆーじログ*

社長+Webエンジニア+ドラマー+作詞家+インディーズバンドマン+エンターテイナー+大学生+時々旅人な40歳

インド旅行8日目手記

8日目 

4:30起床。 
 
今回の旅の最終目的であるガンジス川に身を清めに行く。
 
荷物は最小限に。
パスポートも財布も大事なものはホテルの金庫にぶち込んでおく。 
 
ホテルの受付で前日に手配していたタクシーが来る。
 
タクシーに乗る。 
 
ちなみに前日まで行動していた日本人のシマダさんは足手まといになりそうなので昨日ホテルでパーティを解散して置いて来た。チャオズみたいなもんだ。
 
また一人旅の始まりである。 
 
車の中でドライバーが何か色々話しかけてくる。ちょっと聞き取りにくいがフレンドリーなので楽しい。 
 
おれ「ガンジス川で沐浴をしたいからできるところに連れてってほしい。あと火葬場に行きたい」 
 
ガンジス川は24時間遺体を燃やし続けて灰を流す。
そのための火葬場がある。
火葬場と言っても日本のように棺桶に入れて見えないところで燃やすのではなくまるでキャンプファイアーのごとく燃やす。 
 
ドライバー「わかった。テンプルの近くでいいか?」 
おれ「たぶんそれでいい」 
 
途中でドライバーが突然、 
「20Rsくれ」
と言い出す。
 
なんだかわからないが渡す。 
車を止めて降りどこかに行くドライバー。 
なんか屋台みたいな店の主人と話している。お金を渡した。
戻ってきた。 
 
だが特に何も言わない。
聞くのも面倒なのでおれも何も言わないし聞かなかった。 
いったいあれはなんだったのだろうか。 
おれの20Rsはどこに消えたのか。
なぜおれが出したのか。全てはインドの謎である。 
 
ドライバー「おれはアシュワニだ」 
おれ「おれはユージだ。日本からきた」 
 
名前が分かると少し距離が近くなった気がする。
目的地までだいぶ近くなりパーキングに車を止める。この街にパーキングなんてあったのか。
 
アシュワニ「ここはグッドなパーキングなんだ」
 
車から降りて沐浴できるところまで案内してくれると言う。
ガイドしてくれるのか。心強い。 
 
裏道をガンガン進んで歩いていく。 
朝5時過ぎだと言うのに人が多い。置いて行かれないように必死でついていく。 
 
人だけではない。牛も犬も多い。 
特に犬がめちゃくちゃ多い。昨日の手記にも書いたが噛まれると下手したら人生ゲームオーバーなので尻尾を踏んだりしないように注意する。 
 
しかし犬以外に足元を気にしている余裕なんてないので泥や牛の糞や犬の糞をガシガシ踏んでしまう。 
足首までドロドロだ。 
 
途中で急に雨が降ってくる。
軒先の屋根があるところで雨宿りをする。 
 
アシュワニ「煙草持ってるか?」 
おれ「持ってる」 
アシュワニ「一本くれ」 
おれ「おう」 
 
ナチュラルに煙草を求めてくるな。
 
軒先で雨宿りをしながら煙草を吸う二人。 
雨が弱まってきた。 
 
アシュワニ「行こう」 
 
約15分ほど歩いて沐浴できるところに着く。 
沢山の人が沐浴している。現地の人だけでななく欧米や欧州の人もいる。 
 
おれ「ここで入っていいか?」 
アシュワニ「いいぞ。荷物は持っておく」 
 
荷物を渡してパンツ一丁になる。 
とくにためらいも無く入る。
 
見た目はただのよごれた川だ。 
入ると少しあったかい。 
 
川をボートに乗って周遊するツアーがあるのだが、中国人が沢山乗ったボートが帰ってきた。ボートに乗ったまま沐浴をする人達に拝み始める中国人。
 
なぜ拝む。 
 
おれも中国人に拝み返した。
中国の国旗を振りながら喜ぶ中国人集団。 
たぶん向こうもよく分かっていないのだろう。
 
時間にして5分ぐらい入ってた。 
そろそろ飽きてきたので出る。 
ホテルから持ってきたタオルで体を拭く。体には特に異常はない。
 
そこまで感動は無かったがいい経験になった。 
 
服を着て火葬場に行く。 
人が燃えている。おお、と思う。思っただけ。
たぶんインドに来て初日に見ていたら凄い衝撃を受けたかもしれないがさすがに8日間いると色々麻痺してきてそこまで衝撃は受けない。
これもインドマジックなのか。 
 
ひとしきり見終わったので帰る。 
 
アシュワニ「今日はこれからどこか行くのか?」 
おれ「今日は12時にチェックアウトして空港に行く。そこからデリー行きの飛行機に乗って帰国だ」 
アシュワニ「よし。じゃあ12時過ぎに迎えにくる。ホテルのパーキングで待ち合わせだ」 
 
ホテルの受付に頼むとまた違うドライバーで面倒なのでちょうどいい。 
 
おれ「オッケー。よろしく」 
アシュワニ「連絡先を交換しよう。WhatsApp使ってるか?」 
おれ「使っているがよくわからん。Facebookにしよう」 
 
 Facebookで友達になる。 
 
アシュワニ「これで俺たちは友達だ。ユージが帰国したら電話する。友達だからな」 
 
なんでや。めんどくさいわ。 
 
おれ「おれは英語を話すのが下手だからメッセージにしてくれ。そしたらノープロブレムだ」 
アシュワニ「わかった」 
 
8:30 
ホテルに戻る。
 
体が汚れまくっているのでシャワーを浴びる。 
靴も泥と糞でドロドロだけどとりあえずそのままにしておく。 
 
チェックアウトまで時間があるのでもう一回寝る。 
 
11:20 
起床。 
 
荷物をまとめる。
 
靴を履こうと手をかけると指に牛の糞が盛大に着く。 
さすがにこれは嫌なので中に水が入らない程度に靴を洗う。 
 
あと今日の飛行機のチケットはネット予約なので持っていない。
一応念のためエアインディアのアプリをインストールして諸々入力してチェックインしておく。
 
 
12:30 
ホテルチェックアウト完了。 
 
アシュワニと合流。 
ホテルから空港へ。 
 
デリー行きの飛行機は15:00搭乗の15:30離陸。 
国際線ではないから2時間前に着かなくてもいいが遅くても14時過ぎに着いておきたい。 
 
ここからホテルは1時間半ぐらいかかるという。
Googleマップで調べると50分と出てきた。 
 
アシュワニよ、1時間半は盛ったな。
テクノロジーの勝利だ。
 
ところがホテルに向かう途中で物凄い渋滞が発生する。 
反対車線の車と正面で向かい合うような状況。日本では考えられない。 
 
だいたいインドの交通事情はめちゃくちゃすぎて全ての車とバイクとトゥクトゥクと牛が自分勝手に走り回る。 
人も道路を横切りまくる。 
クラクションを鳴らすのは「邪魔だ」というのと「今から抜くぞ」という合図でもある。
反対車線に飛び出して抜いていくのが当たり前。
 
前の車が停止するとクラクションを鳴らしながら反対車線に出て後ろから抜いてくる。
しかし反対車線からも車が来ているのでぶつかりそうになる。
 
ぶつからなくてもお互い正面を向いたままでどうしようもなくなる。 
こんなことが日常茶飯事で行われている。 
 
今起きている状況はさらにスクールバスが横切ろうとする。
そのまま進めなくなって目の前で立ち往生するバス。
全く進めない全ての車。
鳴り止まないクラクション。
「そっちの車後ろに下がれ!」 
横の車に合図するおっさん。
下がるにも後ろがつかえて下がれない車。
横からすり抜けようとするバイクの邪魔をする牛。 
 
 全てがインドだ。 
 
これ間に合うのか?と思うがおれが慌てても仕方ないので現在地を確認しつつ溜息をつきながらおとなしく座っておく。 
 
アシュワニ「トラフィック」 
おれ「アイシー」 
 
この渋滞はさすがのインドでも問題のようで警察がサイレンを鳴らしながら向かってくる。
なぜか進み始める車。 
 
最初からそうしておけばいいのにと思った。
 
14:00 
いくつかの渋滞を抜けて到着する。
時間は出発からちょうど1時間半の14:00。 
 
アシュワニ、全ては計算通りの日常か。
疑ってすまんかった。
 
アシュワニ「俺たちは友達だからティーでも飲んで行かないか?」 
 
と提案されるがセキュリティチェックや諸々考えるともう時間がない。 
 
おれ「すまない、時間がないんだ」 
 
と伝える。 
降りる時に少し多めに払うと嬉しそうにする。 
 
おれ「ありがとう!助かったよ!」 
アシュワニ「またメッセージ送るぜ!あと煙草一本くれ」 
 
またか。
 
何だかんだと言っても人との出会いが一人旅の一番の醍醐味である。 
 
空港に入ろうとしたらなんか列ができている。 
外国人はパスポートチェックと搭乗券の確認をしているみたいだ。 
 
たまたまエアインディアのアプリ入れていたからよかったものの、入れて無かったら詰んでたじゃないか。 
この国は色々と運ゲーすぎる。 
 
空港に入りカウンターでアプリのチェックイン画面を見せて搭乗券をもらう。
 
手荷物検査をパス。
ボディチェックは相変わらずやたら厳しい。
その金属センサーがガスガス体に当たって痛い。 
 
腹が減ったのでピザトーストを食べる。
タバスコが入りすぎて辛い。 
 
なんか頭痛がする気がする。
川の副作用か?イブを飲んでごまかす。 
 
時間が来たので搭乗口へ、ほぼ定刻で飛行機に乗る。
 
2、3時間の遅れは覚悟していたのにすごい。
 
 
17:00 
最初の到着空港でもあるデリー空港に着いた。 
 
ついにゴール地点に到着した。
また、ここは今回の旅のスタート地点でもある。
 
最初に来た時と同じところに座る。 
 
不思議と1週間前と全く違う景色に見える。
 
1週間前のおれはとても不安だったのに今ではタクシーの乗り方や水の買い方や人との話し方など最低限のだいたいのことがわかる。 
 
喧騒と空気とクラクションに
「そりゃ初見でこれは立ち尽くすわ」
と思う。 
 
思い返せばよくやったなと思う。 
もう一回今から同じルートをまわれと言われたら断る。
運要素が強すぎるからだ。 
それだけ運に助けられた今回の旅だった。 
 
とは言えまだここから帰国便の1:10まで7時間あるので気は抜けない。 
 
一度外に出て煙草を吸い、中に入ろうとするが問題が発生する。
 
なんと出発の3時間前まで空港の中に入れないシステムだ。
 
なんだそれ。
 
色んな国や空港に行ったがこんなの初だ。 
最初から知っていたら外に出ていない。 
外に出たことを猛烈に後悔する。
 
このままクラクションとハエの中、外で4時間待つのはつらすぎる。どこまでも襲いかかってくるインド。 
 
ネットを調べると搭乗券があればラウンジには入れるみたいで、そこからエレベーターを乗ると有料ラウンジのあるエリアに行けるそうだ。 
しかし無理かもしれない。
 
とりあえずチャレンジしてみる。 
 
行けた。というかここはさっき着いた国内線到着ロビーではないか。 
 
ボディチェックは厳しいのに荷物検査はザルだったりと色々突っ込みどころの多い国だがここにも抜け道があるとは。
 
有料ラウンジに行く。 
ちょっと高いけど個室でベッドがあってまるでホテルみたいで快適だ。 
 
23:00 
有料ラウンジを出る。 
入国審査と手荷物検査を済ませる。
 
手荷物検査でカバンに入れてあったライターが引っかかる。
 
しまった。捨て忘れていた。
 
カバンからこぼれ落ちてコンベアーの上をコロンと転がるライター。
我ながら「まるでマンガだな」と思う。
捨てられるライター。
 
「ボーディングパス」
厳しい口調だ。
 
搭乗券を渡す。
何か記帳している。テロリスト名簿とかに載ったのだろうか。
それ以外は特におとがめはなかった。
 
 
多分ここからネットが繋がらなくなるので今日はここでアップする。 
 
そして今日が最後かと思ってたけどよくよく考えたら帰国は日本時間22日の12:00だ。 
 
 
 というわけで明日も更新する。 
 
 
 8日目完。
 
今日は電波が悪いので写真は一枚だけ。
 
 
ガンジス川に立つおれ