*ゆーじログ*

社長+Webエンジニア+ドラマー+作詞家+インディーズバンドマン+エンターテイナー+大学生+時々旅人な40歳

インド旅行手記6日目手記

5:20起床。

5:15待ち合わせだ。 
寝過ごした。
 
 20分遅れで待ち合わせ場所へ。 
アミーンとレッドゥンと合流してタージマハールへ。 
 
 「昨日行ったしなあ」と思っていたら、なんと昨日行ったのはタージマハールではなかったことが発覚。
 
なんということだ。
これがインドマジックか。
なんか小さいと思った。
 
(でも誰にも言ってないから恥をかかずにすんだな)
 
と思ったら昨日の日記に思いっきり「タージマハールに行ってきた」と書いていた。
全世界に恥を晒してしまった。記念なので修正せずこのまま置いておく。
 
本物のタージマハールは凄い。朝焼けが最高に綺麗だ。なんという神聖さ。
 
はたして昨日感じた神聖な雰囲気はなんだったのか。
 
そのあと朝食を食す。
相変わらずアミーンは案内だけして何も食べずに出て行く。「おごるよ」と言っても
「ワシはいらん!チャイだけでよい!ガハハハ!」
仙人か。
 
レッドゥンが「両替したい」と言い出す。
アミーンが両替できるところへ連れてってくれるもレッドゥンが
「レートが悪い」
と言い出す。
 
レッドゥン「銀行へ行きたい」と言い出す。
一路銀行へ。
 
その後、駅に行きレッドゥンが乗る明日のバラナシ行きの寝台列車のチケットを買いにいく。
おれの今日の分は買っているけど一緒に行く。レッドゥンは昨日買おうとしたが、2日後以上先は買えないシステムらしい。
 
ここで問題発生。
明日は寝台列車は休みらしい。それは大変だ。
仕方無いので今日の分を買うというレッドゥン。
 
これによりレッドゥンとの旅が自動的に一日延長する。
 
レッドゥン「ユージ!2000Rs貸してくれ!」
おれ「どうした?」
レッドゥン「チケットを買う金がない」
 
アホかお前は。なんのために銀行に行った。
まあ最悪返ってこなくてもいいやと渡そうと思ったらアミーンが2000Rsをレッドゥンに渡す。アミーンいいやつすぎるだろ。
 
ちなみにアミーンのギャラは二日間のガイドで一人750Rsだ。
 
レッドゥン無事チケットを手に入れる。
 
アミーンがお土産屋に連れて行ってくれる。
おれが「服が欲しい」と言ったら連れてきてくれた。
 
アミーン「ユージ。服と、タージマハールの小さな模型と、それとお前はいつも煙草を吸うから灰皿を買うんだ。その灰皿を使うたびに『アミーン!アミーン!』と思い出すんだ。分かったか?」
と言われる。なるほどわからん。
 
正直灰皿もタージマハールもいらないと思ったが灰皿だけは買わないとアミーンに何を言われるか分からない。
 
土産屋に入りまずは象さんが刺繍された変なズボンをチョイス。
その後灰皿を選ぶ。高い。
スタートから半値ぐらいまで値切る。
それに陶器製なので重い。捨てたい。
 
タージマハールの模型は買わないことにした。どうせ日本に着く頃には先が折れてるに違いない。アミーンすまん。
 
あとインドのエロ本があったのでそれもチョイス。
値切って合計1500Rs。
高え。
 
アミーンのとこに戻る。  
アミーン「何を買った!?」
おれ「見ろ!服!」
アミーン「おお!いいじゃないか!」
おれ「それとインドポルノ!」
アミーン「ガバババババ!!これはいい!!」
おれ「あと灰皿だ!!」
アミーン「ふーん」
 
お前興味ないのかよ。捨てるぞ。
 
レッドゥンが出てこないので覗きにいく。
店員と言い争っている。一触即発だ。
 
レッドゥン「このスカーフはカシミアじゃねえ。シルクだ」
そんなんどっちでもいいじゃんと思う。
 
おれはルピーが無くなったので近くに両替しにいく。
日本で円からドルに両替していたので200USドルをルピーと交換。
 
レッドゥンと合流。
 
色々回って飯を食いにいく。
おれ「チキンが食いたい」
アミーン「バルベキュウ(バーベキュー)が美味い店がある」
おれ「ほう、行こう」
レッドゥン「おれはベジタリアンだから肉は食えない」
アミーン「大丈夫だ、ベジメニューもある」 
 
レッドゥンよ、ベジタリアンだったのか。もっと早く言え。
 
バルベキュウは生焼けだったのでカレーばっかり食う。
半生チキンは腹痛怖いのでナプキンにペッとする。
 
17:00乗車時間の19時まで中途半端に余ったのでどうしようかと会議。
 
レッドゥン「スタバが飲みたい」
ワガママか。
 
アミーン「スタバは知らん。コスタコーヒーなら知ってるぞ」
 
おれはコーヒーが飲めればもうなんでもいい。
 
おれ「コスタでいい!行こう」
 
コスタでコーヒーを飲み時間を潰す。
 
さあ、いよいよ時間だ。
アミーンが迎えにくる。
3人で出発駅のアグラー駅に向かう。
 
途中でアミーンがトゥクトゥクをいきなり止めた。
何か語り始めたが訛りすぎた英語で2割程度しか聞き取れない。
レッドゥンは理解しているようだ。
なんかフランスがーとかジャパンがーとかウォーがーとかアメリカがー、とか言ってる。戦争とか政治の話らしい。ノースコリアがー、サウスコリアがー、とも言っている。ヒロシマ、ナガサキとか言い始めた。これは只ならぬ気配だ。
 
おれは一生懸命聞いて理解しているフリをする。レッドゥンは頷いている。 
 
10分経過。長い。
 
レッドゥンがスマホをいじり始めた。おいバカ。こういう年寄りの話は体裁だけでも取り繕って敬って聞くんだ。
 
ひとしきり終わったので駅に出発。
到着。
 
デコボコトリオの旅を思い出しなんだか感傷に浸る。
 
アミーンは無駄にクラクションを鳴らさない。 
 
アミーンは大抵のことは笑い飛ばす。
 
アミーンは両親はもちろん、嫁も子供もいない天涯孤独らしい。
たぶんアミーンが死んでも、トゥクトゥク仲間の数人しか気付かないだろう。
 
おれはもちろんわからない。
 
人はこうやって生きて死んでいくのかと考える。
 
いい感じの夕日も相まってちょっと涙ぐんできた。
さすが40歳。涙腺が弱くなってきた。
 
三人で写真を撮り、アミーンの大事な旅人日記に「アミーンはマジでいいやつ!」みたいなことを書く。
 
そろそろお別れだ。ギャラを払おう。
 
昨日までで500Rs先払いしているので残り250Rsだが、アミーンの働きが素晴らしかったので500Rs払おう。
 
レッドゥンが先に金を渡す。
2000Rs札を渡している。
 
おいバカたれ、出しすぎだろ。おれも2000Rs出さないとあかん雰囲気やんけ。
仕方無いので2000Rs渡す。
まあ日本円で3000円ちょっとだからいいかと自分に言い聞かせる。
 
レッドゥンは更に金を渡している。
もうついていけん。知らん。
 
談笑していると1人の男がやってきた。
自称アミーンの友達。
バッドニュースを持ってくる。
 
「君たちが乗ろうとしている電車は8時間遅れだ」
 
聞き間違いと信じたかったがどうやら聞き間違いではなかった。
 
おれは帰りはバラナシからデリーまで飛行機、その後デリーから成田に飛行機なのでどうしてもバラナシに着かないといけない。
ここからバラナシまで飛行機も辞さないと思いSkyscannerで調べると1週間に1回しか飛んでいない。無理か。
これで電車しか選択肢が無くなった。
どうしようもないしもういい。
 
ALL HAPPEN, NO PROBLEM. 
 
ここはインドだ。全ての出来事がノープロブレム。
 
それにしても8時間は言い過ぎだろと、駅の電光掲示板を見ると2時間の遅れ、ネットで調べると3時間の遅れと書いている。
 
どれが本当なんだかわからん。
 
とりあえず2時間遅れは確実なので暇つぶしにまたコスタコーヒーにいく。
 
コーヒーを飲みながら色々考えていると、さっきの金のやりとりを思い出しハッと気付いた。
 
 
「レッドゥンがアミーンに渡した2000Rsはアミーンに借りた金を返しただけじゃないのか…その後渡した金が残りのギャラだ…」
 
なんということだ。
 
アミーンも何か言えよ!
だがもういい。
 
ALL HAPPEN, NO PROBLEM. 
 
数十万のロスならまだしも数千円。
アミーンすごい一生懸命頑張ってたし、アミーンがいなかったら行けなかったところも経験できなかったことも沢山ある。
 
 
全てがプライスレス。3000円で買えたのは安かった。
 
21時ぐらいに駅に向かう。
22:30到着と表示。もう乗れたらなんでもいいと思う。
 
ホームや待合室はさながら野戦病院と化している。
これはハードモードだ。
 
バックパックを降ろして枕替わりに使い寝転がる。ちょっと休めたのでまたブラブラ歩く。
 
 
ここから思わぬ展開が待ち受ける。
 
ホームでブラブラしてると一人の日本人男性に声をかけられる。
インドにきて初めて日本人と話をする。
 
「あの、この電車ってまだきてないですよね?」
「まだですね」
 
ではごきげんよう、と一旦別れるもなにか気になり今度はこっちから声をかける。
 
おれ「あの、日本から来られたんですよね」
日本人「はいそうです」
おれ「お一人ですか?」
日本人「はい、一人できました」
 
この方、名をシマダ(仮称)という。
 
シマダさんは結構かっちりした仕事をしていて、ズラした夏休みを利用してインドにきたとのこと。
シマダさんは細身でメガネをかけている。
服装も綺麗だ。
1週間滞在すると言っているのにやたら少ない荷物。
 
見た目からもインテリジェンスを感じる。
 
ヒゲが伸び過ぎてどっちが上か下かわからないおれとレッドゥンに対して、シマダさんは無精髭も生えていない。
 
おれ「なんでインドに来ようと思ったんですか?」
シマダ「なんとなく」ですよね。
 
ひょうひょうとしすぎてなんだか今にも
 
「いやー、探したんですよね」
 
と言い出しそうだ。
久しぶりに日本語で話ができる喜びでシマダさんと世間話をする。
 
レッドゥンも紹介する。
シマダさんは昔海外留学をしていたとのことで英語は俺より堪能だ。
 
同じ車両に乗るということなのでなんとなく話の成り行きで一緒に行動することにした。
 
アミーンと別れて3人パーティが2人になっていたが、シマダさんが加わって再度3人パーティになった。
 
少しずつ増える遅れ。
疲弊が漂うホーム。
 
レッドゥンがどこかに行った。
 
むこうからレッドゥンが何か叫んでる。
 
レッドゥン「ユージ!ホームがかわったらしいぞ!」
おれ「はあ!?マジか!?何番?」
レッドゥン「1番!」
おれ「よしいこう。シマダさんも行きましょう」
シマダ「いやーこれ無理ゲーすぎるでしょ」
シマダさん、I think soや。
 
シマダ「ここに電車来ますかねえ」
 
と言いながらシマダさんはちょっと辛そうなポテチを食ってる。
腹座ってるなこの人。
 
レッドゥンとも打ち解けて話をしている。
 
ようやく4時間遅れて電車が到着した。
インドの電車はバカみたいに長い。
50両ぐらいはあるのではないだろうか。
我々が乗る1Aの車両を、今から発車する五分以内に探さなければならない。
 
一度乗ると仕組み上車両の移動は不可能だ。
 
シマダさんが駆けずり回りながら叫ぶ。
「1Aこっちです!」
 
レッドゥンも走る。
「ユージ急げ!出るぞ!」
 
おれも走る。
「待て待て!」ホームを走り回る3人。
 
ほかのバックパッカーも走ってる。
いよいよインドが牙を剥いてきた。
 
無事車両に乗れた。自分の席を確かめる。
すでに明かりは落ちていて暗すぎて何も見えない。持参していた懐中電灯で番号を探す。8番座席。あった、ここだ。
 
ていうか狭い。狭いのは予想していたが、一応上から二番目のクラスのはず。
これでこの狭さとは。
二段ベッドの上なので荷物を上げて自分も登る。
 
こんなに狭いスペースなのに、パーソナルスペースを確保できただけで不思議と安心する。
荷物を整理してバックパックをワイヤーで括り付けて寝る準備をする。
電車が走り始めた。
 
さて、いつ目的地のバラナシに着くのか、誰もわからない。
 
 
 
インドというのは楽しいこととつらいことの落差が極端で、それがコロコロと変化する。
 
さっきまで超絶楽しかったのにもうつらかったり、今の今まで超絶つらくて来たことを後悔するぐらいなのにすぐに楽しいことが起きる。
 
だから一日を思い出すととても長く感じ、2日前のことが遙か遠い記憶に感じる。
 
これがインドの魅力の一つなのであろうか。
 
6日目完。